一般的なプロジェクションマッピング

様々な用途で高い演出性とインパクトをあたえる表現方法

 プロジェクションマッピングとはプロジェクターを用いて空間と映像を合成し新しいの空間演出をするものです。映像や音を投映物と合成・同期させ、商業施設・イベントの空間演出やインフォメーション・コマーシャルなど様々な用途に高い演出性とインパクトをあたえます。

 現在ワイドショーやニュースサイトで、プロジェクションマッピングとして紹介されている事例が多くありますが、実はプロジェクションマッピングの範疇外である場合もあります。

▲ Coca Cola 125th Anniversary Celebration ※他社事例
建物の表面に白いスクリーンを張ることで、建物へのプロジェクションマッピングというより巨大な多面スクリーンとしている。

 現在、多くの人の認識では、プロジェクションマッピングとは「映像を立体に投映する」ということだと思われています。建物にプロジェクターで投映すればプロジェクションマッピングだと思っている方も少なくありません。

 しかし、これは「プロジェクション=只の投影」で、本来重要な「マッピング」つまりスクリーンと映像の対応付けがありません。どこまでスクリーンの材質や形状を活かした投映表現になっているかが、プロジェクションマッピングの質だと言っていいでしょう。

 また、現在行われているものは、映画や演劇のように観客を会場に集めてコンテンツを見せる「鑑賞型」のものが多くなっていますが、プロジェクションマッピングの本質を考えると応用範囲は無限にあり、多くの分野での活用が考えられます。

プロジェクションマッピング業界の現状

 現在日本ではプロモーションやイベントの目玉として実施したり、施設のシーズナルイベントに採用されています。

最近は実施も増え、実際に体験された方も多くなって来ています。 しかし当社の事例をご説明したときには「これもプロジェクションマッピングですか?」と驚かれる方も多くいらっしゃいます。一般的に「建物に映像を投影すること」=「プロジェクションマッピング」と誤解している方が多いようです。

 

また「プロジェクターでスクリーン以外に映像をあてる」=「プロジェクションマッピング」と誤解している方も多いです。

これは客寄せになると考えてプロジェクターを使ったものをなんでも「プロジェクションマッピング」と広告をうってしまう弊害でしょう。 「プロジェクション」は「投影」ですのでプロジェクターなど光を投影して映像や画像をだすこと、「マッピング」は「対応付け」ですので、スクリーンの形状などに対応させた映像で投影したものです。’

マッピングの部分を無視した(スクリーンの形状や特性を活かしていない)映像を投影しているのはただのプロジェクションです。スクリーンといった物理的なものを使い新しい映像表現をするからこと、いままでとはちがう体験ができるのです。 「スクリーンの特性を理解した映像制作」と「プロジェクションという技術を理解したスクリーンデザイン」が一つにならないとクオリティの高いプロジェクションマッピングにはなりません。しかしプロジェクションマッピングを専門に研究・制作している企業は少なく、まだまだ高いレベルのプロジェクションマッピングが少ないのが現状です。

▲ The Ice Book  ※他社事例
立体の紙芝居と映像を組み合わせたような作品。スクリーンとなる白い物体が、映像によってドラマティックに変わる様が見て取れる。

プロジェクションマッピング 機材

必要な予算は何で決まるか

プレイヤーは高額なものから安価なものまで使えるとすると、なぜプロジェクションマンッピングは高額になることが多いのでしょうか?それはプロジェクターの価格によるものです。プロジェクターは高性能なものだと一台数千万円するものも多く、レンタルでも1日50〜100万円ほどです。これにレンズや電源・ケーブル類、投影台や設置費などが加わると高額になります。さらにプロジェクションマッピングの場合複数台のプロジェクターを使用するのでコストが高くなり、当然ランニング費や映像制作費もあがります。逆に性能の高くないプロジェクターであればコストを低くすることができます。 ですので不必要なほど高性能なプロジェクターを選ぶことで(もちろん不要な台数を導入しても)、プロジェクターの費用だけでなく、ランニング、映像制作費が上がってしまします。しかし事前に適切なスペックと台数のプロジェクターを選ぶことは難しく、ほぼ感で選んでいる方が多いのが現状です。そこで当社ではプロジェクションマンッピングのシミュレーションが出来るように独自開発したアプリケーションにより機材選定・設置計画を行っており機材面の無駄なコストを削減するように努めております。費用を左右する大きな要素はプロジェクターですので、プロジェクターの台数やスペックが決まると全体の予算感がみえてきます。

なぜプロジェクションマッピングできるようになったのか

▲ Mapping the Guggenheim ※他社事例
NYのグッゲンハイム美術館でのプロジェクションマッピング。曲面であることによって、さらにプロジェクターの台数を必要としていると考えられる。

3D技術の進化

 コンテンツ制作においては3D技術の進化も大きな要因でしょう。PCにて正確なシミュレーションができるためにマッピング精度の高いコンテンツを制作する事が可能になり、驚くようなコンテンツを作り出せるようになりました。

▲ YouTube Symphony Orchestra Grand Finale Event  ※他社事例
建物の内部と外部が連動したプロジェクションマッピング。冒頭の映像から、緻密な計画と相当数の機材が必要なことがうかがいしれる。

ハードの進化

 ハードに関しては2点あります。1つめの要因はプロジェクターの高輝度化と高解像度化です。明るいプロジェクターの登場により建築物のような大きなものに投影できるようになった事、そして高解像度化による表現力の向上です。  2つ目は、メディアサーバーとよばれるPCによる、ジオメトリック補正(レンズや設置位置によるコンテンツとスクリーン形状のズレを映像を歪めることで補正する)がプロジェクションマッピングを簡単にしたことが考えられます。

コンテンツ概念

 プロジェクターなど機器の発達などはもちろんですが、コンテンツにおいては映像を空間的に捉える事が今までの映像コンテンツとは大きく違う事でしょう。  錯視の考え方や投映されたものの大きさなど、実際の空間においての映像のありよう、映像を物質として感じさせることに重きをおいたコンテンツが鑑賞者に今までとは違った感動を与えています。また人々がPCなどの画面の中にはない、新しい映像の楽しみを求めているのかもしれません。

プロジェクションマッピングの問題点

 現状の制作現場では、様々な要素が絡み合い、それを同時に考慮しなくてはなりません。経験の少ない制作会社の多くが手探りで作業するなか、それらを的確に把握しハンドリングできる人材は不足しています。そのため多くの制作会社が初期段階から連携せざるをえず、時間と費用がかさみ、制作料金が高くなりがちです。  経験のある制作会社でも制作工程が複雑なためトライアンドエラーが多く、手数が読めないために割高な見積もりになることも少なくありません。現状では、プロジェクションマッピングの専門家が少ないのが実情ですので、下請け会社が介在したり、リスク回避の意味合いもあるでしょう。プロジェクターなどの機材費が、一般的な感覚からすると高額に見え、全体的に割高に感じることも実施にいたらない原因です。プロジェクションマッピングの理解度が低い機材レンタル業者などによる、過剰な設備の提案なども原因のようです。