メディアリウムにおけるプロジェクションマッピング

ProjectionMapping -物体と映像の融合-

「プロジェクションマッピング」と聞くと、建物に映像を大きく投影しているイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

もちろん、それも正解ですが、プロジェクションマッピングには多くの拡張性があります。

プロジェクションマッピングを簡単に考えると、映像を投影(プロジェクション)しその映像をスクリーンの形状に対応した補正(マッピング)をしているだけです。つまりコンテンツとしては映像の部分が大きい技術で基本的には画面投影しているので、PCなどディスプレイ上で表示できる技術をそのまま取り込むことができます。

 

それでいて画面の中だけで完結しない表現ですので、それにプラスしてリアルな空間ならではの触感や香りなどを組み合わせることもできます。つまり空間における演出やコンテンツの表示技術として最適なのです。

基本的には映像をスクリーンに形状に投影するといった情報表示方法の技術のため、さまざまな他技術と組み合わせ発展していく可能性が極めて高いものです。現在多く使われているエンターテインメントなどの演出としてだけでなく、工場での作業効率工場や医療の現場でも使われ始めています。多くの場面で活用でき、さまざまな技術を組み合わせやすい技術ですので情報表示方法として一般化していくと思われます。メディアリウムではプロジェクションマッピングを基本技術としてそれを拡張しコンテンツを作り上げていきます。

プロジェクションマッピング全面
ホログラム

プロジェクションマッピングは最新技術ではない?

3D マッピング、プロジェクトマッピング、3D ビデオマッピングなど様々な名称で呼ばれます。 この技術はプロジェクターなどを用いて様々な物体をスクリーンにして映像を映し出します。

そのスクリーンとなる物体は大きなものでは建築物などから小さなものでは花や靴などありとあらゆる物を対象とし、自動車や木々、人間まで、今まででは映像コンテンツとの融合が考えられなかったものにまで及んでいます。

勘違いしがちですが、プロジェクションマッピングの原理自体は最新技術ではありません。原理的には映像を投映しているだけにすぎません。

そのスクリーンの形状や投映の工夫、それを意識したコンテンツを作ることで高い演出効果を発揮します。そもそも映像を従来のスクリーン以外に投映することは、プロジェクターさえ用意できれば、簡単に試せます。

そのため、プロジェクションマッピングという名前はないものの、同じような手法で行なってきた事例は多いでしょう。 ですので、「最新」「先端」などの言葉に頼らず、コンテンツそのものが目的に沿った素晴らしいものにならないと鑑賞者の満足度は低いものになってしまいます。当社にも「実はこれ他社で実施したのですが・・・プロジェクションマッピングって、こんなものなのですか・・・」と可能性を感じていた方がガッカリして相談にいらっしゃったことは少なくありません。

プロジェクションマッピングはオワコン化しない

プロジェクションマッピングが頻繁に行われるようになった理由に、機材や補正技術の発展や、制作が簡易になったことで、クリエイターが増えたことも要因ですが、やはりプロジェクションという手法の可能性が広いことにあると思います。

投影物を傷つけることもなく、投影しないときにはもとに戻るといった特性が既存空間との相性がよく、スクリーンという物質がある存在感と映像という自在にヴィジュアルをコントロールできるものが合わさったときのインパクトは大きなものがあります。

ディスプレイのように四角い画面がないことも、物質としてそこに存在しているかのように錯覚する要因でしょう。画面の中でしかなかったことが、自分の目の前で起こる驚きや迫力はもちろん、映像ならではの可変性を活かしたコンテンツをリアルな空間で展開できることも大きな魅力です。プロジェクションマッピングはまったく新しい使い方だけではなく、いままで行われてきたサービスやコンテンツを拡張することができます。だからこそ様々な業界が実施しその可能性を探っているのでしょう。

透過スクリーン ホログラム
デジタルサイネージ

アシュラスコープとプロジェクションマッピング

アシュラスコープでは、プロジェクションマッピングの可能性を広げるために独自に研究を続けてきました。

実施における問題点を解決し、コストパフォーマンスに優れ、なおかつ、美しさとコンテンツ展開の可能性をもったクオリティの高いプロジェクションマッピングを提供する。

すなわち、プロジェクトの真の目的を達成できるものとなるように独自にデザインしてきました。

プロジェクションマッピングがまだ考えだされていない1998年より独自に開発・制作をおこない、投影に関連する特許も出願、取得しています。 国内では特にまだ経験や実績の少ない制作者も多い中、プロジェクションマッピングという表現手法を使った演出をきちんと機能させ、プロジェクトを成功に導く技術を持っています。

 

特徴としては建築やインテリアのデザインをベースとしたキャリアを持っているため、動線や構造、レイアウトやディスプレイなどの建築的な要素を考慮することができ、様々な条件が複雑かつシビアに絡み合う建築の中でも機材のスペックを最大限に引出し、高解像度で明るい良質なコンテンツを実現することができます。

 

また、様々な特徴や特殊な素材に対してのプロジェクションを実験しスクリーンデザインとともにプロジェクションマッピングだからこその表現を追求しています。

アシュラスコープは、プロジェクションマッピングを平面的な演出ではなく、立体的・空間的な演出として捉えているため、単なる大型映像としてだけでなく、その空間に入った人がどの様に感じるのかを考えながら進めることができます。

 

そのようなプロジェクションマッピングを基本としたクリエイティブを区別し発展させるため、わたしたちの業務範囲、技術・デザイン力など、ご提供できるものと、一般のプロジェクションマッピングというイメージとの違いを明確にするために、当社のデザイン(サービス・商品・作品)とその根底にあるデザイン論や進むべき方向性を含め「メディアリウム」と名付け、自分たちだからこそ提供できる「目指すべきクリエイティブ」を日々研究しています。

独自シミュレーターによる設置設計

“スクリーンの形状に合わせた映像コンテンツの投影”というプロジェクションマッピングの定義に対し“メディアで空間をデザインする”という、よりトータルに複合的にアプローチするのが『メディアリウム』です。

そのためメディアリウムの実現には、いままでのプロジェクションマッピングにおける数々の問題点を解決することが重要になります。そして、空間における映像として、企画・制作できる知識と発想力がなによりも重要です。 そしてメディアリウムを実施のための検証に独自にシミュレーターを開発しました。

シミュレーターでは機材面からコンテンツ制作まで必要な情報を得るため、プロジェクターをメーカーの仕様書からデータベースをつくり、プロジェクトに必要なプロジェクターが必要に応じて3D生成されます。

それにより機材のスペックを最大に活かす設置設計はもちろん、メンテナンス面も考慮することができます。映像コンテンツに関してもピクセルのリアルサイズや影の発生位置を正確に知ることができるのでそれらの問題をフォローすることが可能です。

常設時には機材スペックを必要最低限にし機材費の大幅な削減に加え、運営の簡便性も向上させています。さらにイベント時でも、マッピング調整時間が大幅に短縮され、会場費の節減など様々なメリットがうまれます。

この様に事前シミュレーションを使用したプロジェクションマッピング制作は、空間とコンテンツの可能性を最大に引き出す投影設計と大幅なスピードアップを実現します。イメージを確認しながら進められるので、図面やプロジェクターの知識が少なくて導入にハードルを感じていたお客さまはもちろん、これまで以上に柔軟なニーズに応えることができます。

プロジェクションマッピングシミュレーション

プロジェクションの為のスクリーン

私たちは、投影する映像だけでなく、投影先のスクリーンとなる物のデザインも行います。

企画やコンテンツをより魅力的なものにするためには、スクリーンとなる物体が重要です。建築デザインの経験から、投影のスクリーンとなる物体の設計デザインをおこない、会場の広さや明るさ、コンテンツの内容を踏まえ設計し、物体としても魅力的なものにします。

スクリーン素材でコンテンツは変わります。

同じ映像でも、投映するスクリーン素材により大きく表情を変えます。反射素材や透過素材、透過性の違いなどによって映像の見え方は大きく変化します。下の実験ではフレームに紗膜を張ったキューブを積んだものをスクリーンにしています。フレーム部分に投影された場合は通常の投映と変わりませんが、その他の部分に投映された映像は紗幕を透過し、前後左右の紗幕に映像が映ります。この効果により非常に立体感・浮遊感のあるものとなっています。

また、映像とスクリーンとなる物体がズレていると非常に目立つため、映像だけでなくスクリーンとなる物体も正確な寸法で製作することも重要なポイントです。

そのため、CADソフトを使用した正確な寸法でのデザインを行なっています。 プロジェクションマッピングはスクリーンそのものが立体のために、それに投影した映像が3D映像に見える技術です。つまりスクリーン形状によりコンテンツそのものさえも決まって来てしまいます。造形作家の目をもった映像クリエーターであり空間クリエーターでないと魅力的なコンテンツはできません。

予測のつかない複雑なスクリーン

こちらは実際のフワラーアートにプロジェクションをすることで、より色鮮やかにみせたりストリー性のあるコンテンツに仕上げています。 ライティングだけでは表現できない内容になっています。このような図面化できないような形状にもプロジェクションマッピングが可能です。事前のシミュレーションに加え機材の設置設計からコンテンツの制作方法までを同時に検討することで可能になります。