太陽の娘 FAVETTA(ファヴェッタ)

2017

飲食店

 東京・新宿に新規オープンしたイタリアンレストランの企画と空間演出を手がけました。

 エントランス、ホールの両壁、メインのテーブル席に、合計18台のプロジェクターとディスプレイ2台、プレイヤー14台の機材と、約100本の映像による、プロジェクションマッピングをはじめとする最新の映像演出を取り入れました。オリジナルキャラクター「FAVETTA (ファヴェッタ)」や動植物などのグラフィックが動きだす映像は、各所すべてが連動しており、イタリアの童話をモチーフとした世界観を店舗全体で表現しています。

 今回は空間演出だけではなく、店名考案やロゴデザインも担当したり、イベントやメニューのご相談もお受けしたり、オーナー様とビジネスに対するビジョンを共有しながら進めました。初期の企画から参加して、ハードからソフトまで総合的にディレクション・制作しました。

 ここでしかできない体験を提供したいというご依頼を具現化するために、まるで童話のワンシーンに入りこんだような空間に仕上げました。各演出が織りなす空間の多様性を創出し、幅広いシチュエーションで魅力を感じていただけるアイデアを詰め込んでいます。

店内見取り図

【常時体験できるコンテンツ】

昼と夜をイメージした映像は、季節に合わせた演出にも変化します。お食事中も常時体験することができ、一度だけではなく次に来店した時にも、いつでも新しい発見を楽しめます。お店で過ごす時間を、惜しみなく味わっていただける工夫を随所に凝らしました。

昼コンテンツ※

夜コンテンツ

【特別な時間を盛り上げるコンテンツ】

一定時間ごとに行われるイベントタイムでは、店舗全体の演出が変化して驚きの一体感を生みだします。また、童話の中にも登場するスペシャルピザをオーダーすると、店内全体がかまどの中になったかのような迫力とユーモアあふれる演出に変化します。誕生日などの記念日のお客様には、思い出に残る演出もご用意しています

イベントタイム※

スペシャルピザオーダー時※

記念日演出

【各演出の説明】

・エントランス
カラフルなステンドグラス調に仕上げた、半透明のグラフィックシートへ映像を投影。印象的な太陽のキャラクターが、表情を変えていきます。店内への期待を高める、インパクトのある演出です。

外観※

店内※

ディテール

投影前

・ホールの両壁
イタリアの町並みをイメージしたグラフィックを、あえて質感豊かな壁紙へ印刷し、そこに映像を投影することで、童話の世界観とマッチする風合いのプロジェクションマッピングに仕上げています。投影とモニターでは光源が異なるため、目に映る映像の質感や距離感も違ってきます。その点を活かして、背景とイメージキャラクターが登場する窓の中を模した映像で、表現の幅を広げています。また、壁にかけられたフレームには絵が浮かびあがり、描かれたモチーフがリズミカルに動きます。

ホール壁面 カウンター※

ホール壁面 フレーム作品※

カウンター 投影前

フレーム作品 投影前

カウンター ディテール

フレーム作品 ディテール

・メインのテーブル席
店名の由来となったFave(そら豆)などの映像がテーブルに浮かび上がり、お食事の席をさりげなく盛り上げます。

VIP テーブル席

ホール テーブル席

ディテール※

投影前

【投影設計・機材選定の工夫】

・既存の店舗を改装した新規オープン計画のため、設備がある状態でプロジェクターを取り付ける必要がありました。そこで、独自開発のプロジェクションマッピングシミュレーターを使って、限られた設置位置から最適な明るさと解像度を保てる機種を選び、費用対効果の高い投影設計を実現しました。

プロジェクションマッピング シミュレーション画面

・3Dシミュレーションと同時に、模型によるデモ投影も行います。プロジェクションマッピングを平面のグラフィックではなく、立体的な構造や空間として計算しています。

模型によるシミュレーション

・エントランスは繁華街に面していて、昼間と同じくらい夜間も明るい環境ですが、ガラス背面から効果的なリアプロジェクションを行い、コンテンツ側の調整も加えることにより、映像投影を成立させています。

⇒空間に特化した豊富な事例をもとに、建築の専門技術をベースとした設計が可能です。

【システム設計の工夫】

・オペレーションは、スイッチひとつで演出に関わる機材全て(プロジェクターと再生機、スピーカー)がオンになるように設定しています。また、コンテンツの切り替えも、キーボードに割り振った
特定のキーを押すだけで対応できます。

・再生機は通常プロジェクター1台ごとに必要ですが、再生機1台で個体差のある複数の投影対象へ映像を出しても成立するようにシステム設計とコンテンツ調整を行うことで大幅なコストダウンが可能です。

⇒運営現場の日常業務に負担を掛けないシステムを基本とし、ハード・ソフト両面の知識を活かして、最適なシステムをご提案します。

【コンテンツ制作の工夫】

・店内の明るさに配慮して、プロジェクターを照明としても機能するように制作しました。プロジェクションマッピングを導入している飲食店は、店内が暗くなる傾向にありますが、料理がはっきりと見えて手元が明るくなるように独自手法を使ってコンテンツを制作しています。

・リアプロジェクションのエントランスは、店内と外側から見た光の透過度を調整するために、グラフィックシートの色ごとに細かく映像をマッピングしています。

・店内で行うイベントタイムでは、ランチ・ディナーの滞在時間やサービスのタイミングに合わせてコンテンツの尺を決めるなど、現場のオペレーションを想定して仕様を決めました。

⇒空間演出のスペシャリストとして、光の特徴や、スクリーンとなる投影対象など、環境条件を全て考慮した上でコンテンツを制作しています。

【飲食店にプロジェクションマッピングを取り入れるときのポイント】

・エンターテインメント性や最先端のテクノロジーを追求するだけではなく、空間に価値を与える演出ととらえて、場所に応じて活用シーンや動線を専門的に分析・設計・デザインしながら丁寧に企画からディレクションすることを心がけています。

・常設で導入する場合、プロジェクターからの投影距離が取れないことや、機材のコストがネックになってきます。イニシャルコストはもちろん、導入後も消耗品の取り換えが負担にならないよう、投影設計に関する独自基準により、最もコストパフォーマンスに優れ、環境に適した演出に仕上げることが重要です。

【演出機材情報】

プロジェクター(エントランス):XJ-F100W (CASIO) ×4  ※3500ルーメン
プロジェクター(テーブル):XJ-F100W (CASIO) ×10
プロジェクター(ホール壁面 カウンター):XJ-F100W (CASIO) ×2
プロジェクター(ホール壁面 フレーム作品):NP-P502HLJD-2 (NEC) ×2 ※5000ルーメン
ディスプレイ(ホール両壁 カウンター):PN-Y436 (SHARP) ×2
サイネージプレイヤー:BS/HD1023(BrightSign)×2、BS/HD223(BrightSign)×12
スピーカー(既存設置に増設):Control 24CT Micro(JBL)×1

【スクリーン情報】

グラフィックシート(エントランス):ファザードサッシ用出力シート 透明+マットラミ+くりぬき加工
クロス グラフィック出力(ホール両壁 カウンター・フレーム作品):SP-9907(サンゲツ)

【受賞】

「DSA日本空間デザイン賞2018」入選

※撮影:SPSジャパン株式会社

《店舗情報》
店名:太陽の娘 FAVETTA (ファヴェッタ)
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-23-14 第一メトロビル1F
→ 公式サイト


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