立体視・錯視を意識したコンテンツ
現在のプロジェクションマッピングはCGデザイナーが3Dソフトウェアで通常の映像制作と同じように制作したもので、人がより立体感を感じる手法やエッシャーのような2次元における3次元の錯視や、醍醐味である意外性の楽しみ方など美術的な知識やアプローチが少なく、既にコンテンツがマンネリ化してきています。
そこでメディアリウムでは3Dソフトウェアのみではなく、トロンプルイユ(だまし絵、トリックアートの技法のこと)の技術をふまえてコンテンツの制作を行っています。
PRODUCTION SKILL
ORIGINAL SKILL
– テクノロジーを活用した空間コンテンツの
企画から製作ませ行うデザインサービス
– 何をすればいいのか、情報をどう整理すれば
いいのかデザイナー目線の提供
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CASE STUDY
メディアリウムはリアル空間や様々な要素との複合的なコンテンツですので、映像やグラフィックなどヴィジュアルコンテンツの制作に関しても独自の思想やテクニックやあります。ほぼ全て当社独自で考え出したものですが、そのいくつかをここでご紹介します。
このような通常のビジュアル制作以外のテクニックを用いることで、可能になる表現が多くあることをご理解いただければと思います。
※用語やテクニックなど自社独自のもので一般的なものではありません。
現在のプロジェクションマッピングはCGデザイナーが3Dソフトウェアで通常の映像制作と同じように制作したもので、人がより立体感を感じる手法やエッシャーのような2次元における3次元の錯視や、醍醐味である意外性の楽しみ方など美術的な知識やアプローチが少なく、既にコンテンツがマンネリ化してきています。
そこでメディアリウムでは3Dソフトウェアのみではなく、トロンプルイユ(だまし絵、トリックアートの技法のこと)の技術をふまえてコンテンツの制作を行っています。
・錯視角
錯視は特定のビューポイントから見た時に立体的に見える表現手法です。日本では実施場所が狭いケースが多いため、設定したビューポイントと観賞者との差が大きくなることで立体感が減少します。これをどこまで解消出来るかがポイントとなります。 また実施環境で十分な暗さにならずにスクリーンが肉眼でハッキリ見えてしまう場合は極端な立体の表現はできませんので、実施環境を考慮してコンテンツをつくることが必要です。
・広視野角錯視
実施条件が厳しく上記の錯視で立体に見えにくい場合、影の追加やコントラストの強調により、設定ビューポイントから離れていても立体に見えるように制作するテクニックです。
・奥行きや立体感
基本的ですが、単純にプロジェクターから映像を投影するとスクリーンは立体感が失われてしまいます。奥行きやスクリーンの形状を理解し、コントラストを意識した画作りがクオリティを左右します。 また決して条件がよいとは言えない環境での投影のため、暗めの色がほとんど見えなくなります。環境に合わせた明るさとコントラストで制作しないと、現場で調整をする必要がでてきます。トーンカーブなどで対応ができるものの、最初から意識しないと無駄な作業が増えるばかりか、画質も下がってしまいます。
・空間の変化
プロジェクションマッピングは映像ではなく空間の変化を感じさせるものです。空間的な広がりや意味、観賞者の動線、プロジェクションマッピング以外の要素などを考えずに制作したものは、単なる巨大スクリーンでしかありません。空間的広がりの変化の対比効果により臨場感が感じられるのです。このように建築的な思考やアプローチがあって初めてクオリティの高いデザインができます。
リアルとの融合を考慮して通常の映像制作とは違うテクニックが必要となります。こちらにその一部を公開します。
・速度でにげろ
自由視野や鑑賞者の位置がバラバラな場合は、立体感に違和感が出てしまう・映像が切れてしまう部分などの避けられない問題がある。そのときに移動速度やブラーなどで違和感を軽減させるテクニック
・ぺら立体
自由視野や鑑賞者の位置がバラバラな場合に何かが飛び出るような表現は立体感に違和感が出てしまう。そのため、厚みのないものが浮いたような表現をし、側面を描かないことで違和感を軽減させるテクニック
・コンテンツミックス
スクリーン上のコンテンツ(テーブルの上に置かれた皿など)と映像コンテンツが一体となって成立するコンテンツ。プロジェクションマッピングの醍醐味。
・フルマッピング
立体的なものをスクリーン(マネキンや自動車など)とするとき、鑑賞者がどこから見てもスクリーンのすべてに映像がマッピングされている状態。
・地明り
スクリーンそのものが見えるようにプロジェクターから照明代わりに投影する映像。気づかれにくいが、果は絶大。地明りと影の描写だけでも、面白いコンテンツはつくれる。
・フレームジャンプ
映像があたっている(と思わせている)範囲から映像が飛び出てくる表現。
画の中から外にキャラクターが飛び出してくるなど、ベタな表現だが効果的。飛び出るときに映像が崩れることが多いので、動きやエフェクトの使い方が重要。
・はんなりマスク
ボケ足が極端に長いマスク処理。「なんとなくマッピングされてる」程度にマッピングしかできない場合に用いる。
・にせ影
スクリーンの実際の影の様に映像で偽物の影を描き、スクリーン形状を騙すテクニック。 また画としては整合性がないが、形や位置関係をわかりやすくするために描く影のこと。
・エッジにげ
環境的に正確なマッピングできない場合に、ずれが目立つ部分をさけたコンテンツにする制作テクニック。
・レンダ視野外加筆
3Dで制作された場合に発生するカメラから見えない部分をレンダリング後に描き足す。複数多方向からプロジェクションする場合に用いる制作テクニック。
プロジェクションマッピングが立体的に見える最も大きな理由は、スクリーンそのものが立体であるということです。
そのなかで変形したような映像を生み出す為に、だまし絵の手法を簡易的に使用します。これはある一点からみると立体に見えるだまし絵です。
鑑賞者の見る位置(ビューポイント)を決めて制作しなくてはならず、理論的には設定した場所から見ないと立体には見えません。そのため撮影を前提にした場合はカメラの位置をビューポイントとし、イベントなどの場合は巨大なコンテンツを遠方から見る事により実際の各鑑賞者と設定観測点の差異を少なくすることで成立させています。
※観測者が動いても錯視が保たれるものはセンサーでビューポイントをリアルタイムに測定し、それに合わせて撮影コンテンツを動かしているのです=リアルタイムレンダリング(複数の人間で鑑賞した場合には成立しません。)
また、人間の目は2つあり左右の目で見る映像がわずかにずれていることで立体に見えています。(この目に映る映像の差を利用したものが一般的にいわれる3D映像です。)どれだけリアルにコンテンツを作っても、人間の目はごまかせません。
ところが、カメラは1つしか目(レンズ)がありません。そのためカメラで撮影したものは立体感が失われます。それが実際の物体の凹凸を正確に理解できなくし、映像で作った嘘の立体感との違いがわからなくなり変化がリアルに感じるのです。これが撮影されたプロジェクションマッピングがホログラムのように見える理由です。このように、立体で見えるためには決めたれた1点でしか成立しないこと、カメラで撮らないとホログラムのような立体感はでないことを理解した上で、トロンプ・ルイユの技法を使わなくては、肉眼でみても魅力のあるコンテンツにはなりません。